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遺留分に関するお役立ち情報
遺留分という言葉をあまり聞いたことがないという方、よく知らない方は多くいらっしゃるかと思います。疑問点を解消していただくためにも、こちらをご覧ください。
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遺留分を請求したいと考えている方へ
1 できる限り早めに弁護士にご相談ください
遺留分の請求には1年の期限があり、これを過ぎてしまうと、遺留分の請求が認められなくなってしまう可能性があります。
実際、遺留分の請求をすぐに弁護士に相談しなかった結果、遺留分の請求が認められなかった事例もあります。
そのため、遺留分を請求したいと考えている方は、できる限り早めに、弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士事務所の中には、相続に関して無料相談を実施しているところもありますので、そのようなところであれば相談もしやすいかと思います。
2 依頼する弁護士によって遺留分の金額が変わる場合も
依頼する弁護士によっては、遺留分の金額が変わる場合があります。
なぜ依頼する弁護士によって遺留分の金額が変わるのかというと、弁護士の中には、遺産の評価や遺留分に関する法律の知識にあまり詳しくない方がいるためです。
実際、20年以上も弁護士として業務を行ってきた人でも、遺産の評価の具体的な方法を知らなかったり、相続法の改正についてよく理解していなかったりする方もいます。
また、弁護士の中には、年間を通して数件しか相続案件をしておらず、知識や経験に乏しい方もおり、そういった弁護士に依頼してしまうと、本来であれば、より多くの遺留分を取得できたにも関わらず、少ない金額しか取得できない可能性があります。
そのため、遺留分の請求を依頼する場合は、相続に詳しい弁護士に依頼したほうが良いでしょう。
3 遺留分を請求する場合に注意すること
⑴ 遺言や生前贈与が無効な可能性があっても、急ぎ遺留分の請求をする
たとえ遺言や生前贈与が無効になると考えている場合でも、1年の期限を過ぎてしまうと、遺留分の請求ができなくなる可能性があります。
実際、弁護士が就き遺言の無効を争っていた事案で、遺留分を請求する相続人が、遺言が有効な場合に備えて遺留分の請求をしなかった結果、判決で遺言が有効になり、遺留分を請求する相続人は、遺留分さえも認められなかった事例もあります。
そのため、遺言や生前贈与が無効と考えている場合でも、仮に遺言や生前贈与が有効となる場合に備えて、遺留分の請求をしておいた方が良いでしょう。
⑵ 期限内に相続税の手続きを行う
相続税が発生する場合、遺留分を請求し、遺留分相当額の金銭を取得した場合も、相続税の申告が必要になります。
相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知ってから10か月以内ですが、10か月を過ぎた後で遺留分相当額の金銭を取得した場合は、遺留分額について相手方と合意が成立した日の翌日から4か月以内に、修正申告及び相続税の納付を行う必要があります。
万が一、期限に遅れてしまうと、無申告加算税や延滞税を課せられる可能性があります。
⑶ 生前贈与の時期と贈与を受けた人が相続人か否かが重要
遺留分の金額は、生前贈与がいつ行われたかによって、金額が異なることがあります。
相続人の贈与であれば、相続開始から10年以内の生前贈与であり、特別受益(遺産の前渡しといえる程度の贈与)に該当すれば、遺留分を計算する基礎財産(以下、「遺留分算定の基礎財産」といいます)に含まれます。
また、相続人以外の贈与であっても、相続開始から1年以内の生前贈与であれば、遺留分算定の基礎財産に含まれます。
他方、相続人に対する10年より前の生前贈与や、相続人以外の者に対する1年より前の生前贈与であれば、原則、遺留分算定の基礎財産に含まれず、例外に当たる場合も、極めて限定される可能性があります。
そのため、生前贈与については、誰が、いつ、贈与を受けたかが重要になり、時期については専門家でも間違えることがありますので、特に注意が必要です。
⑷ 生命保険を確認する
生命保険は、原則、遺留分算定の基礎財産には含まれず、遺留分の対象になりませんが、例外的に、死亡保険金の金額や遺産に占める割合、相続人との関係性等を考慮し、遺留分算定の基礎財産に含まれる場合があります。
たとえば、遺産額が3000万円、死亡保険金が6000万円、保険金を受け取った相続人が被相続人の面倒をあまり見ていなかった場合だと、当該保険金6000万円についても、遺留分の対象になり、遺留分算定の基礎財産としては、9000万円となる可能性があります。
このように、死亡保険金も例外的に、遺留分算定の基礎財産に含まれる可能性がありますので、遺留分を請求する場合は、死亡保険金の有無や金額についても、しっかり確認する必要があります。
遺留分について弁護士に相談した方がよい理由
1 遺留分は弁護士に相談すべき
遺留分について、弁護士に相談するかによって、遺留分の金額が大きく変わることがあります。
そもそも、遺留分とは、相続人に認められた最低限度の権利のことをいい、遺留分の金額は、遺産の金額や生前贈与等の金額によって変わります。
この遺産の金額や生前贈与の金額等を確定させるためには、法的知識や不動産、非上場株式等の評価に関する専門的な知識も必要になります。
例えば、故人から1億円の生前贈与を受けた場合、遺産の総額や、その生前贈与を受けた人が相続人か否か、また、生前贈与を受けた日時はいつかにもよっても、遺留分の計算上、1億円の生前贈与を考慮するかどうかが変わることがあります。
また、遺産に土地があった場合、これを1億円で評価するか、5000万円で評価するかによって、基本的に遺留分の金額は、大きく変わります。
このように、法律の知識や不動産等の評価に関する知識があるかによって、遺留分の金額が大きく変わることがあります。
通常の弁護士であれば、不動産の評価についてある程度の知識を有しているため、まずは弁護士に相談された方が良いでしょう。
2 相談は相続に強い弁護士がおすすめ
また、弁護士に相談されるのであれば、相続に強い弁護士に相談されることをおすすめします。
その理由として、遺留分に関する法律は非常に複雑であるため、弁護士の中でも、間違った知識を持っている方がいるためです。
例えば、遺留分は1年間の期限がありますが、この期限について、たとえ遺言書の無効を主張していたとしても、期限は進みます。
遺言書の無効が裁判所に認められれば、遺留分について問題はありませんが、万が一、遺言書の無効が認められないと、通常、遺留分の期限も過ぎているため、遺留分さえも認められなくなってしまいます。
この点について、中には誤解している弁護士もいますので、遺留分を相談する場合は、相続に強い弁護士の方が安心かと思います。
3 遺留分に関するご相談なら当法人へ
当法人では、一人でも多くの方のお悩みを解消できるように、遺留分に関する相談を原則無料で実施しております。
相続案件を中心に取り扱い、遺留分に関する問題を得意とする弁護士が対応いたしますので、遺留分の請求をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。
遺留分の請求の流れ
1 遺留分は請求しなければ権利を実現できない
亡くなった方が遺言や生前の贈与をしたことにより遺留分が認められている相続人の権利が侵害されている場合には、その相続人は遺留分についての権利を主張することができます。
ただし、いくら法律上の権利があるといっても、これを主張して、相手に支払いを請求しなければ、権利は実現できません。
遺留分についての請求は、以下のように進める必要があります。
一般の権利の請求方法と異なる遺留分特有の注意点もありますので、気を付けてください。
2 内容証明郵便を使って請求する
よく「遺留分を請求する場合には、内容証明郵便を使って請求しましょう」と説明されます。
ただし、より詳しく説明すると、法律上、必ずしも内容証明郵便を使って請求することが要求されているわけではありません。
意思表示や事実行為の中には、法律上、一定の方式を要求しているものがあり、たとえば、遺言を作成する場合などには、一定の方式で行うことが決められています。
このような意味でいうと、遺留分の請求は内容証明郵便を使って請求しなければならないという法律の条文はありません。
そのため、遺留分の請求をするだけであれば、口頭であっても、内容証明郵便によらない書面での請求であっても、法律上の問題があるわけではありません。
しかしここで、実際に内容証明郵便による書面での請求がされている理由は、遺留分の請求には消滅時効などの期限があることにあります。
すなわち、遺留分の請求は、遺留分を請求する人が「相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間」の間に請求しなければ、時効によって消滅します。
たとえ遺留分の権利を持っている人が期間内にしっかりと請求をしていたとしても、請求をされる側が消滅時効を主張してきた場合には、請求をする側が一年以内に請求をしたことを証明する必要があります。
また、相続が開始してから十年以内という期限もありますので、こちらについても期間内に請求をしたということを証明する必要があります。
この証明の方法としてもっとも適切なものが内容証明郵便を用いた書面での請求ということになるため、実務上もこのような方法で請求がされているのです。
内容証明郵便に加えて、郵便が相手方に到達したこととその日付も証明するために、配達証明も付けることを忘れないようにしてください。
3 協議をしてまとまらなければ、調停または訴訟をする
遺留分の請求後、まずは遺留分の請求をする相手との間で、いくらの遺留分を支払うことにするのかを協議します。
基本的には、こちら側からの請求額を伝えたうえで、請求をされる方がそれを受け入れられるか、受け入れられないのであればその理由を述べるといったやりとりをすることで協議を進めていきます。
ただ、遺留分については、請求をする側が遺留分の対象となる財産の内容を把握できていないことも多く、請求をする側から請求をされる側に財産の内容を開示するように求めることもする場合があります。
また、遺留分の額が決まった場合にも、その支払時期や方法が問題になる場合もあります。
なぜなら、現在の法律では、遺留分についての権利は遺留分侵害額請求権として金銭債権化されましたが、たとえば、請求を受ける側が不動産しか受け取っておらず、遺留分の金銭をただちに支払うことができない場合もあるからです。
そのような場合には、支払いの時期を遅らせたり、分割払いとすることで合意ができないかを協議することになります。
そのような協議によっても遺留分の内容や額が決まらない場合には、家庭裁判所での調停(遺留分侵害額の請求調停)で、裁判所からの必要な助言などを受けながら、解決ができないかを話し合うことになります。
調停を通じても合意ができない場合には、遺留分侵害額請求訴訟を提起することになります。
この訴訟では、双方が必要な主張と証拠の提示をしたうえで、裁判所が最終的な遺留分侵害額の判断をすることになります。
訴訟の途中で、裁判所から和解案の提示もあるでしょうが、和解も成立しなければ、裁判所が判決をすることになります。
判決が確定した場合には、終局的に遺留分侵害額の内容が決まります。
遺留分が問題となるケース
1 典型的なケース
遺留分とは、相続人の一部に認められた、相続において最低限保障された権利のことです。
遺留分が問題となるケースとして、典型的なものは、以下のようなケースかと思います。
亡くなった方には子どもが複数いましたが、そのうちの一人に家を継がせるために遺言書を書き、その子どもにすべての財産を相続させることにしたというケースです。
この場合には、家を継ぐことになった子ども以外の子どもは財産を取得しないことになってしまいますが、遺留分が認められているため、家を継ぐことになった子どもに対して、侵害された遺留分についての請求をすることができる可能性があります。
以下では、亡くなった方には妻と長男、二男がおり、「長男にすべての財産を相続させる」という遺言書があったケースをもとにして、遺留分がどのように問題になるのかを説明します。
2 遺留分の割合
遺留分が問題になる場合には、まずは遺留分の権利を持っている相続人が遺留分をどのような割合で有しているのかを確認する必要があります。
なお、兄弟姉妹には遺留分は認められていませんし、どのような方が相続人となっているのかによって遺留分の割合は変わってきますので、注意が必要です。
上のケースでいうと、二男には、本来の法定相続分としては4分の1の権利があるのですが、今回のように遺留分が問題になる場合には、遺留分の対象となる財産に対して8分の1の権利があるということになります。
3 遺留分の対象となる財産
遺留分の対象となる(「遺留分の算定の基礎となる」という表現がされます。)のは、亡くなった時に残っている財産と生前になされた贈与の一部です。
亡くなったときに残っている財産はすべて遺留分の対象となりますが、生前の贈与については、原則として、亡くなる前の1年間になされたものに限って対象とされています。
ただし、生前の贈与については例外があり、亡くなる10年以内に相続人に対して生計の資本などとしてなされた贈与であるときや、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときなどには、そのような贈与は遺留分の対象となります。
上のケースでいうと、亡くなった方が、亡くなる10年以内に、長男に対して、自宅の建築費にあてる目的で財産の贈与をしていたときには、原則として、その贈与についても遺留分の対象になります。
亡くなった方が、亡くなる1年以上前に、長男の子どもである孫に対して、同じように自宅の建築費にあてる目的で財産の贈与をしていたときには、孫は相続人ではありませんから、原則として、その贈与については遺留分の対象にはなりません。
ただし、亡くなった方と受け取る長男や孫が、そのような贈与をすることで二男の遺留分が侵害されてしまうことを認識した上で贈与をしていた場合には、このような期間の制限はなく、いつの贈与でも遺留分の対象となります。
なお、亡くなった方に負債がある場合には、遺留分の対象となる財産からその分が差し引かれます。
上のケースでいうと、法律上は、すべての財産を長男に相続させるとともに、すべての負債を長男に負担させるという意思があったものと扱われますから、亡くなった方に借金があった場合には、遺留分の対象から負債分が差し引かれます。
4 遺留分から差し引かれるもの
遺留分の権利がある方が相続によって取得した財産がある場合には、その財産は遺留分から差し引かれます。
遺留分の権利がある方が生計の資本などとしてなされた贈与を受け取っていた場合には、これも遺留分から差し引かれます。
上のケースでいうと、遺言の内容で二男が相続財産から取得するものはないのですが、亡くなった方から生前に借金を代わりに支払ってもらったり、高額の医療費を払ってもらったりした場合には、これらが遺留分から差し引かれることがあります。
5 注意しなければならない点
遺留分は、上記のとおりに計算されるのですが、実際は、他にも様々な点が問題になります。
遺留分についての権利は、現在は金銭債権化しており、遺留分についての権利がある方は、これを侵害した方に対して、金銭の支払いを請求することになります。
ここで、遺留分の対象となる財産の中に不動産が含まれている場合には、不動産がどの程度の価値があるかを把握する必要があります。
不動産の価値はただちに明らかとなるわけではないため、これを評価する必要があるのですが、評価にあたってはどのような観点から不動産を評価することが妥当なのかについての争いが生じるおそれがあります。
さらに、亡くなった方からの生前の贈与が、遺留分の算定において考慮すべきものなのかどうかについての争いが生じる可能性もあります。
このように、遺留分については様々な点が問題になり、遺留分が問題になる場合には紛争となる可能性が高いため、注意が必要です。
遺留分権利者の範囲
1 すべての相続人に遺留分が認められるわけではない
遺留分とは、相続において、相続人の一部に認められた最低限の権利です。
亡くなった方が遺贈や生前の贈与をしたことで、相続人が取得する財産が減ってしまった場合にも、遺留分についての権利を主張することができます。
しかし、この遺留分はすべての相続人に認められている権利ではなく、一部の相続人にのみ認められている権利ですので、注意が必要です。
2 遺留分が認められているのは兄弟姉妹以外の相続人
遺留分が認められている遺留分権利者の範囲は、民法1042条1項で、「兄弟姉妹以外の相続人」とされています。
そのため、亡くなった方の配偶者や子ども、両親などの直系尊属は、遺留分が認められている相続人です。
配偶者は常に相続人となりますし、子どもがいた場合には子どもが相続人となります。
両親などの直系尊属は、亡くなった方に子どもがいなかった場合などに相続人となります。
亡くなった方の子どもがすでに亡くなっていた場合に、代わりに相続人となる代襲相続人についても、遺留分が認められます。
他方で、亡くなった方の兄弟姉妹には遺留分は認められていません。
同様に、兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合に、代わりに相続人となる代襲相続人についても、遺留分が認められません。
3 遺言書を作成する際の遺留分についての注意点
遺言書を作成する際に、相続についての揉めごとを避けるためには遺留分についての配慮をすることが必要です。
上述したように、場合によっては遺留分のない相続人しかいない場合がありますので、そのような場合には、遺言書を作成する際に遺留分について配慮する必要はありません。
他方で、遺留分の認められている相続人が相続人である場合には、遺留分についての配慮をする必要があります。
ここで注意する必要があるのは、相続人の構成によって、遺留分の割合が異なるということです。
通常は、相続人の遺留分は法定相続分の2分の1ですが、直系尊属のみが遺留分権利者である場合には、法定相続分の3分の1になります。
したがって、それぞれの遺留分の割合も考慮しながら、遺言書の内容を検討することが重要です。
遺留分侵害額請求に関する弁護士の選び方
1 相続に詳しい弁護士を選ぶべき
相続人の一部には、自分以外への遺贈や生前の贈与によって自らの遺留分が侵害されている場合には、その侵害されている遺留分の額を支払うように請求する権利が認められており、この権利を遺留分侵害額請求権といいます。
遺留分侵害額を請求する側にとっては、どのような財産が遺留分の対象となるかについてしっかりとした知識と経験を持った上で、財産の調査をしなければ、請求できたはずの権利を請求できないというおそれがあります。
また、遺留分の対象となる財産に、不動産など評価が必要な財産が含まれていた場合には、その財産がいくらと評価すべきかについての的確な主張をしていく必要もあります。
相続に詳しい弁護士でなければ、このような知識を持っておらず、適切に対応できないおそれがありますので、遺留分侵害額請求に関して依頼する場合には、相続に詳しい弁護士を選ぶべきです。
2 ある程度の規模の事務所の弁護士を選ぶべき
この遺留分侵害額請求権は、かつて遺留分減殺請求権と呼ばれていた権利が、法改正によって、名称と内容が変わったものです。
基本的な制度の内容はそのままですが、権利の内容が金銭債権化されたり、算定の基礎となる財産の範囲が変わったり、重要な変化もあります。
また、新制度における、今後の裁判例や実務の扱いを押さえておく必要もあります。
このような内容については、ある程度の規模の事務所であれば、弁護士同士で知識を共有したり、それぞれが経験した事例を共有したりすることができ、最新の動向を押さえることができます。
しかし、個人事務所の弁護士の場合には、知識を得る機会や実例を知る機会が限られてしまうため、最新の動向に関して把握していない可能性があります。
そのため、遺留分侵害額請求をする場合には、ある程度の規模の事務所の弁護士を選ぶべきかと思います。
3 ホームページの記載を見てから選ぶべき
弁護士に依頼するときに、知り合いの弁護士に依頼したり、知り合いから紹介された弁護士に依頼されたりするケースも多いと思います。
しかし、そのような場合、その弁護士が遺留分侵害額請求に強い弁護士かどうかは分かりません。
遺留分侵害額請求に関して弁護士を選ぶときには、弁護士事務所のホームページや弁護士の紹介ページを確認していただき、その弁護士が相続や遺留分侵害額請求に力を入れているかを確認してから、選んでいただきたいと思います。
遺留分について
1 遺留分が認められる相続人
遺留分は、法定相続人の一部に認められているものです。
亡くなった方が遺言書を残していたために、遺留分の権利を持っている相続人の権利が侵害されている場合には、その権利を侵害された人はその分を取り戻すための請求ができます。
この遺留分が保障されている相続人は、兄弟姉妹(この代襲相続人を含む)を除く法定相続人です。
例えば、亡くなった方の配偶者や子ども、孫、父母が法定相続人となっている場合には遺留分が認められます。
他方で、亡くなった方の兄弟姉妹や、それらの方々の代襲相続人である甥や姪には遺留分は認められていません。
2 遺留分の割合
「法定相続分の半分が遺留分」という認識を持たれている方も多いかと思いますが、正確には異なります。
全体の遺留分については、親のみが相続人である場合には3分の1となり、それ以外の場合が2分の1となります。
実際には後者のケースが多いでしょうから、「法定相続分の半分が遺留分」という認識が広まっていると思われます。
全体の遺留分にそれぞれの法定相続分を掛けたものが、それぞれの遺留分の割合となります。
3 遺留分の対象となる財産
遺留分の対象となる財産には、以下のものがあります。
まずは、相続が開始されたときに残っている財産借金等のマイナスの財産があればこれを差し引きます。
また、生前の贈与も遺留分の対象になります。
ただし、相続人に対する生前贈与の場合には、原則として相続が開始する10年以内のもののみが対象となるなどの制限があります。
4 請求方法
遺留分を侵害された者から、遺留分を侵害している者に対して、自らの権利分を取り戻すことを請求する必要があります。
現在の法律では、この権利はすべて金銭債権となっており、金銭での支払いを請求できることになっています。
この請求には消滅時効が定められているため、権利者は自らの遺留分を侵害されたことを知ったときから1年以内に請求しなければならないなどの期間制限があります。
後に訴訟となった場合に備えて、この期間内に請求をしたことを証拠として残しておくため、相手方に内容証明と配達証明を付けて請求をしておくということが実務上行われています。
遺留分の侵害額がいくらであるのかは、簡単に計算ができない場合も多いことから、権利者と義務者の間で話合いによる合意ができなければ、調停や訴訟となることも多いといえます。
遺留分に関する情報の掲載
遺留分はあまりなじみがない制度かと思いますので、よく分からないという方も多いかと思います。遺留分の基本的なことも掲載していますので、お読みください。