遺留分割合と算定の基礎となる財産
1 遺留分とは
遺留分とは、一定の相続人が最低限受け取れる相続財産の持分的利益を意味します。
2 遺留分の算定方法
⑴ 遺留分の算定方法
各相続人の遺留分の額は、「遺留分算定の基礎となる財産の額」×「各相続人の遺留分割合」-「特別受益の額」、という計算によって算定することができます。
⑵ 遺留分算定の基礎となる財産の額
「遺留分算定の基礎となる財産の額」は、被相続人が相続開始の時に持っていた財産と生前に贈与した財産を足してから、被相続人の債務(借金等のマイナスの財産)を引いて算出します(民法1029条1項)。
⑶ 被相続人が相続開始の時に持っていた財産
被相続人が相続開始の時に持っていた財産とは、被相続人が死亡時に有していた、現金、預金、有価証券、不動産等のプラスの財産のことをいいます。
⑷ 生前に贈与した財産について
原則、被相続人の死亡時からさかのぼって1年以内に贈与した財産であれば、生前に贈与した財産として、遺留分の基礎となる財産に含まれます。
一方、被相続人の死亡時からさかのぼって1年以上前に贈与した財産であっても、被相続人と贈与を受けた者が、遺留分の権利を持つ者に対して損害を与えると知っていた場合には、生前に贈与した財産にあたり、遺留分の算定の基礎となる財産に含まれることとなります。
相続人に生前贈与した財産で特別受益にあたる場合には、被相続人の死亡時から1年以上前のものであっても、被相続人・贈与を受けた相続人に遺留分権利者に損害を与えると知っていなかった場合でも、遺留分算定の基礎となる財産に含まれる可能性があります。
特別受益とは、相続人が複数いる場合にその相続人の一部に対し、被相続人が贈与または遺贈した財産で一定のものをいいます。
遺贈、婚姻・養子縁組のための贈与、単なる生活費の援助を越えた生計の資本として受けた贈与等が特別受益にあたります。
このように、相続人の中で不公平が生じないようにするため、特別受益を遺留分算定の基礎となる財産に含めています。
⑸ 各相続人の遺留分割合
遺留分全体の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の遺留分の算定の基礎となる財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1となります。
3 遺留分についての弁護士へのご相談
以上が遺留分算定の方法になりますが、何が特別受益にあたるのか、遺留分の算定の基礎となる財産の額が正確なのか、判断が難しい場合もあります。
一度、弁護士に相談されることをおすすめします。