遺留分その他のQ&A
遺留分侵害額請求は自分でもできますか?
1 弁護士に依頼しなくとも遺留分侵害額請求自体は可能です
遺留分は、法律によって認められた法定相続人の権利です。
遺留分権利者が権利を行使する場合、必ずしも弁護士に依頼しなければならないということはありません。
書店で販売されている書籍や、インターネット上の情報等を参照することで、ご自身が遺留分権利者にあたることや、ご自身の遺留分が遺言や贈与等によって侵害されていること、遺留分侵害額請求権には消滅時効という制限があり、その期間内に請求する必要があることなどは、専門家でなくとも比較的容易に分かるケースも多いと思います。
そして、この遺留分が侵害されているということを理由として、遺留分侵害額請求をする側が、侵害者との間で話合いをし、その結果、相手方に金銭の支払いなどを約束させて、この問題を解決することができたというケースもあるとは考えられます。
この場合、本来の遺留分侵害額請求権の実現というわけではありませんが、請求をした遺留分権利者にとっては、実質的に遺留分侵害額請求権を実現することができたといえるでしょう。
2 遺留分侵害額請求をしっかり行うためには弁護士による対応が大切
遺留分侵害額請求の制度は非常に難解で、法律の専門家以外の方が正確に請求を行うことは困難であるといえます。
遺留分侵害額請求の制度は、現在、法律の条文だけでなく、判例などの実務を踏まえた複雑なものとなっています。
また、遺留分侵害額の算定についても、財産の正確な評価や特別受益の持ち戻しなど、複雑な計算が必要となります。
遺留分権利者が本来の法律上の遺留分侵害額請求を正確に行おうと考える場合、法律の専門家以外が容易にできるものではないといえます。
遺留分侵害額請求についての話合いがまとまらず、遺留分侵害額請求の調停や訴訟になった場合、遺留分侵害額請求者としては、このような複雑な制度を踏まえ、請求の内容を具体的に特定したうえで請求をしていく必要があります。
特に訴訟は、訴訟法に従った厳密な主張や立証等の活動が求められますので、これを法律の専門家の弁護士以外が行うのは、通常困難です。
3 交渉段階から弁護士に依頼することにもメリットがある
一般的には、遺留分侵害額請求を行う場合、訴訟等に至る前に交渉を行います。
そして、遺留分侵害額請求者が、法律上認められた権利に基づく侵害額に近い金銭を遺留分侵害者に請求するためには、訴訟等になった場合の結果を踏まえた交渉をする必要があります。
遺留分侵害者が一切連絡に応じないなど、当初から当事者間だけでは話合い自体がまとまることが見込めないケースにおいては、交渉段階から弁護士に依頼することを検討することもおすすめします。
特に、遺留分についての争いは、親族間の感情的対立や過去の出来事などを背景として揉めることが多く、弁護士等の専門家が介入し、権利の内容や遺留分の制度について正確な知識を提供することで、円滑に解決が図れるケースも多いといえます。
当法人では、遺留分について、請求をする側と請求をされる側双方のご相談をお受けしておりますので、まずはご相談ください。