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遺留分に関する制度等に関するQ&A

遺言書に「遺留分は請求しないように」と書いてあれば、遺留分は請求できないのですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年12月21日

1 「遺留分は請求しないように」という記載に法的効力はありません

遺留分は、一定の相続人に認められた法的利益であるため、遺言者であっても、この利益を侵害することはできません。

そのため、たとえ遺言書に「遺留分は請求しないように」と記載されていたとしても、そのことによって遺留分を請求できなくなるということはありません。

では、法的効果がないにもかかわらず、なぜ遺言書にそのよう記載をしておくのでしょうか。

遺言書に記載でき、なおかつ法的効果を持つのは、遺産の分け方や遺言執行者の指定など、法律で定められた事項に限られます。

それ以外の記載は付言事項と呼ばれるもので、法的効果はないものの、遺言者の願いや気持ちが記載されることがよくあります。

「遺留分は請求しないように」という記載もこの付言事項にあたり、遺言者が、特定の人に多くの財産を残したいという希望を叶えるために、記載しておくものです。

2 遺留分が請求できない場合もあるため注意が必要です

上記のとおり、付言事項そのものによって遺留分が請求できなくなることはありません。

しかし、それ以外の理由で遺留分を請求できなくなることがあるため、注意が必要です。

例えば、ご自身が生前贈与を受けている場合は、遺留分が侵害されたとしても遺留分を請求できない可能性があります。

本来、遺留分は一定の相続人に対し、遺産の一部を相続することを保障するための制度です。

しかし、生前贈与を受けている場合は、すでに遺産の一部を事前にもらっていると考えることができるため、相続開始前の一定期間に一定額以上の生前贈与を受けている場合は遺留分を請求できません。

遺留分を請求できるかどうかの計算は非常に複雑であるため、生前贈与を受けた方は弁護士に相談することをおすすめします。

3 遺留分に関してはお早めに弁護士へご相談ください

仮に、遺留分が発生しないのであれば、遺言書にわざわざ「遺留分を請求しないように」という記載をする必要はありません。

そのため、遺言書にそのような文言がある場合、遺留分を請求できるケースが多いといえます。

もっとも、遺留分としてどれくらいの金額を請求できるのかという計算は、専門的知識が必要になります。

また、遺留分の請求には期間の制限があるため、遺留分の請求を検討されている方はできるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

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